文献というフィールドへ:
文献資料(モノ)が拓く地域研究の可能性

東南アジア地域研究研究所には、タイ・バンコクの仏教寺院から発見された大乗仏教の経典類約100点以上が保管されています。タイのお寺から大乗仏教の経典、あれっ?と不思議に思われた方は、タイそして東南アジア地域の宗教に詳しい方でしょう。タイは、上座部(テ―ラヴァーダ)仏教の国と言われ...

18
May 2021

 

 東南アジア地域研究研究所には、タイ・バンコクの仏教寺院から発見された大乗仏教の経典類約100点以上が保管されています。  タイのお寺から大乗仏教の経典、あれっ?と不思議に思われた方は、タイそして東南アジア地域の宗教に詳しい方でしょう。タイは、上座部(テ―ラヴァーダ)仏教の国と言われていますが、実は、大乗仏教のお寺もあり、タイ国内に住む華僑・華人、また越僑と呼ばれる在外ベトナム人、そしてタイ人も参拝しています。

 動画の中でご紹介している資料の中には、日本と同じく漢字で書かれた経典や、漢字の経文にタイ語やベトナム語のヨミがふられているもの、字喃(チューノム)と呼ばれる漢字を借用して作られたベトナム文字で書かれている経典があります。また、仏教の経典だけではなく、道教や風水の呪文が書かれた紙片もあります。これらの資料は19世紀後半〜20世紀半ばに、ベトナム・タイや中国で出版あるいは筆写されたと推定されています。  お寺には、仏像、仏画、経典などさまざまなモノが長い歴史をかけて蓄積されています。それらのモノを調査研究することで、大乗仏教が東アジアから東南アジアへいつどこからどのように伝播していったか、だれが信仰していたかなど、さまざまなことがわかってくるだろうと期待しています。  この動画では、3人が登場し、各々の研究視点からこの資料調査について語っています。

 

大野美紀子(京都大学東南アジア地域研究研究所)

共同研究者:
清水政明(大阪大学)
小島浩之(東京大学)

 

再生時間:10:19

撮影地:日本、京都 京都大学

THE CAST

「文献というフィールドへ:文献資料(モノ)が拓く地域研究の可能性」の出演者

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ONO, Mikiko

Associate Professor

これまでベトナム各地でフィールド調査をしてきました。日昼はフィールドに出かけ、夜はフィールドノートを整理しながら同行の先達・同輩の研究者たちとその日のフィールドで見聞きした事象について語り合ってきました。文献を対象とした共同調査に参加するのは初めてでしたが、久方ぶりにフィールドでの日々を思い出しました。眼前の事象をどのように観察するか・分析するか、それを参加者それぞれの視点から語り合う体験は、野外のフィールドであれ文献であれ何ら変わらない、ドキュメントもまたフィールドであると強く感じました。

https://kyoto.cseas.kyoto-u.ac.jp/organization/staff-2/ono/

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SHIMIZU, Masaaki

Professor

チューノム資料を用いてベトナム語の歴史(特に発音の歴史)を研究しています。チューノムは、文脈により読み・意味がしばしば変わる「一字多読」の文字がほとんどです。まるで暗号を解くように、ベトナムの言語、文化、歴史に関する知識を総動員してその正確な解読に挑みます。チューノム資料の向こうに広がるベトナムの古典世界を是非皆さんと共有できればと思います。

https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/068cb47fd791bf66.html

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KOJIMA, Hiroyuki

Lecturer

中国の歴史や歴史資料の保存と活用に関する研究が専門ですが、特に最近は紙や印刷に興味をもっています。紙は大航海時代までにアジア、イスラームそして欧州へと広がり、人や組織の間をつないでネットワークを構築する世界共通の情報基盤となりました。過去に世界を移動した紙を追いかけて調査して、紙の種類や使われ方などを分析することで、資料の背後にある文化や社会、資料にかかわる人々の関係性などの大きなヒントが見いだせるはずです。

https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/people/people000748.html

所属等の情報は、動画撮影時のものです。

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